クラッシャー上司が企業を蝕む!
新幹線に置いてあったウェッジ2月号の記事によると、パワハラ防止のための法整備がようやく行われるらしい。
これを見たときの感想は「いまさら?」
僕がサラリーマンの時代、もう13年前になりますが、まあクラッシャー上司という呼び名がピッタリな人が僕の直属の上司でした。課長兼次長(副部長的なポジション)という立場で、その影響力は部全体に轟いてました。当時はパワハラなんて言葉すら無かったのですが、その傍若無人ぶりは課や部ならず、事業部を飛び越えて鳴り響いており、今で言うところのパワハラの権化のような存在でした。
そのパワハラぶりは例を出すとキリが無いのですが、ある日の課の月例発表会。うちの課は開発担当の課だったので毎月、開発の進捗を報告しあう会がありました。そのクラッシャー上司は課長ですから、もちろん課員の発表を聞いて、意見を言う義務があります。いつも苛烈な叱責を浴びせるので発表会は戦々恐々。しかしその日はなんと、ある課員(A氏)の発表途中から居眠りをこいてます!彼はこれ幸いと、そそくさと発表を終えました。クラッシャー上司は相変わらず眠ってますので、代わりに課長代理が軽く意見を述べ、A氏は叱責を受けることを回避出来たのです。
そして次の発表者、B氏の番です。彼もクラッシャー上司が眠っている間にそそくさと発表してしまいたい。叱責を受ける前に自分の番を終わらせてしまいたい。B氏の発表はいつもより声のトーンを低く、そしていつもよりかなりスピードアップして行われました。しかしそう簡単には問屋は卸さない。発表終了間際、クラッシャー上司は目を覚ます!しかし発表はすでにほぼ終了です。終わらせてしまえば内容を聞いてないクラッシャーがまともな意見を言えるはずかない。そんな状況でB氏の発表が終了し、クラッシャーはどのような言葉を発するか課員全員が固唾を呑んで見守る中、一言こう言った。
「もう一回、最初から説明せい」
そこにいた全員が言葉を飲み込んだ!全員がこう突っ込みたかった。『あんた、寝てたやん。。。』
もちろん一番言いたかったのはそのとき発表していたB氏だ。もう15年以上前になるが、その時のB氏の顔は忘れられない。結局彼は発表の最初から終わりまで、まさに重箱の隅をつつかれまくって菜箸が折れるほどにさんざん叱責を受け、最終的には「お前の発表は一回聞いただけでは分からん」と罵られた。
しかも最初に叱責を回避できたA氏も「A!お前の発表も一回じゃ分からんのじゃ。お前ももう一回発表せえ。」と言われ、いつも以上に叱責を受けた。
その日僕は、クラッシャーが別の会議に出席するとのことで中座してからの発表だったので、なんとか難を逃れたが、その日のクラッシャーのノリが(僕らをいびる方向に)絶好調だったので心底ほっとした記憶があります。
クラッシャーはその後もパワハラぶりを遺憾なく発揮し、彼のおかげで鬱病を発症する人、わずか一年で真っ白髪になった人、やめた人、そんな人が数知れず。だけど何故か将来の幹部候補。順風満帆な出世街道を歩んでいたが、ある事件から失脚して、最終的には閑職に追いやられることになった。その時僕はすでに会社を辞めてましたが、それを聞いたときは思わず高笑いが出てしまいました。
ともあれ、あの時にパワハラ防止法なんてものがあったら、もっと早くクラッシャーの横暴を止めることが出来て、多くの人が救われたのではないかと思います。結果的にクラッシャー自身を救うことになったかもしれません。
そんなわけで、パワハラ防止法は僕にとっては今さら感満載ですが、新たな犠牲者を防ぐためにぜひいい形で施行されればと思います。