筆者は阪神ファンである。なんとなく阪神ファンを自覚したのは1985年の阪神優勝からで、そのころから発売されたファミスタでは阪神を使い始める。本格的にファンになったのは1993年から。なぜこの年からかと言うと、この年が僕の大学入学年で、それまでさほど野球が好きじゃなかったんだけど大学の友人たちがみんな野球好きで阪神ファンだったから、自然と熱狂的なファンになった。

はっきり言ってその頃の阪神は地獄である。暗黒時代と言われている。3点差で9回裏を何度ひっくり返されたか。何度、7連敗の文字をスポーツ誌の誌面で見たことか。そんな中で新庄の存在は僕ら暗黒阪神ファンにとっては光だった。掃き溜めに鶴とはまさにこのことだ。

 

その後、メジャーを経由して日ハムに入団した新庄は、阪神のころ以上に輝きを増していた。多くの阪神ファンが日ハムの新庄を応援し、日ハム自体も応援した。阪神時代よりもかっこよかった。今も日ハム時代の新庄が一番好きだ。野球の試合を見て泣いたのは2回。一つはWBC決勝でイチローがヒットを打って優勝したとき。もう一つが新庄の引退試合だ。

 

そんな新庄だが、現役時代の成績は微妙だと思われていることが多い。確かに人気先行で、人気に伴った成績であったわけではない。だが調べてみると、意外と成績もバカに出来ないことが分かる。なので今回は新庄の現役時代の成績を少し紐解いてみよう。

 

新庄の打撃成績(日米通算)

1741試合(NPB:1411試合 MLB:303試合)
打率.252(NPB:.254 MLB:.245)
1524安打(NPB:1309安打 MLB:215安打)
225本塁打(NPB:205本 MLB:20本)
816打点(NPB:716打点 MLB:100打点)

こうしてみると平凡な成績のように見えるかもしれないが、それぞれの成績をひとつひとつ丁寧に見ていこう。

安打

安打は通算で1524安打。通算記録でのデータは無いが、NPBだけだと1309安打は2020年終了時で通算184位。1位は張本さん。通算安打の1524安打になると、だいたい120位ぐらいの数字になる。この位置で、近い人はどんな人がいるかというと・・・

例えば新庄よりすこし安打数が多い人たちを見てみると、メジャー、ヤクルトで活躍した岩村明憲が1585安打。 ドラゴンズの森野将彦が1581安打。安打製造機と呼ばれた田尾安志が1560安打。3代目ミスタータイガースの田淵幸一が1532安打。意外と言っては失礼だけど、田淵さんや田尾さんが新庄とあまり安打数が変わらないことには驚いた。

一方、新庄より少し安打数が少ない人たちを見てみると、 ブンブン丸池山隆寛が1521安打。虎のレジェンド岡田彰布が1520安打。広島一筋、緒方孝市が1506安打。西武黄金時代の辻発彦が1462安打。この中で 池山以外は一軍監督経験者だし、池山も現役の二軍監督だ。ちなみにもう少し上を見ると1675安打で原辰徳や1656安打で掛布雅之がいる。

本塁打

本塁打は通算で225本塁打。NPBが1309安打でMLBが215安打。同じく通算記録でのデータはないが、NPBだと通算100位。1位はもちろん王さん。通算記録になると80位ぐらいのところ。この位置で近い人を見てみよう。

新庄より少し多い人を見てみるとここにも意外な顔ぶれが見える。メジャー同期のイチローが235本。史上最高のショートとも言われる松井稼頭央が233本。最多3021試合出場の谷繁元信が229本。なんとも錚々たる顔ぶれである。

新庄より少し少ない人も見てみよう。なんとこんなところに。本塁打王も獲得した初代ミスタータイガースの藤村富美男様が224本。ミスタースワローズの2人、若松勉が220本、古田敦也が217本。そして結構離れて、新庄の天敵、藤田平が207本。ちなみにもう少し上を見ると241本で緒方孝市、247本で岡田彰布がいる。

 

こうしてみると安打数、本塁打数ともに通算の打撃成績は他の一流の選手と遜色はない。ただ打率が低いからあまり打撃のイメージが良くないのだろう。

新庄と似た成績の名選手

さてここで一名、新庄と似た成績の名選手を見つけた。それは、ミスター・ロッテの初芝清。初芝の成績と新庄の成績を見てみると・・・

新庄剛志 初芝清
試合数 1741 1732
打率 .252 .265
安打数 1524 1525
本塁打数 225 232
打点 816 879

とても似ているように見えないだろうか?安打数なんて一本差。打率は初芝さんのほうが若干高いが、.265もそれほど褒められた打率では無いので・・・

新庄の守備について

新庄といえば外野守備。外野守備の名手といえば?という質問にはイチローとともに新庄の名前が必ず出る。他、中日の英智、ヤクルトの飯田哲也、本西厚博などが挙げられるが、やはりイチローと新庄が外野守備の双璧であると思う。そしてこの2人でどちらが外野守備が上手いか?という議論が出ることがあるが、ひとつの回答としてオリックスでイチロー、阪神で新庄と同僚だった、こちらも守備の名手、本西厚博の言葉が参考になろう。ちなみにオリックス時代はイチロー、田口とともに鉄壁の外野手トリオを形成したが、そのリーダーは本西であった。

イチローについては「新人時代から見てきたけど、最初はヒドかった」
新庄については「外野手に必要なすべてを持ち合わせていた」
そして「守備に関して言えば新庄の方が上」

とのことなので、おそらく新庄は歴代の外野手の中でも、一番の名手だったと言えるだろう。

新庄監督に期待すること

さて2022年からは日ハムの監督に就任する新庄。はっきり言って30年来の阪神ファンを覆して日本ハムファイターズのファンに鞍替えするつもりである。そのくらい新庄監督には期待している。栗山監督を超える長期政権を目指してもらい、常勝軍団を作ってもらいたい。

新庄剛志の育て方