関東全域のくらしを守る東京電力HD(9501)。まあ潰れようが無い会社ではありますが、株価は低迷気味。今後10年はどうなるのか、予想してみましたので参考になれば幸いです。
目次
まずは過去の株価から
こちらは東京電力の年足チャート。ローソク足一本が一年で30年分のチャートです。20年前は2000~3000円で推移していましたが、急落して今は1000円以下で推移しています。この急落は2011年、東日本大震災ですね。その影響で下落した株価がずーっとそのままになっている状況です。
過去の株価は
- 93年:3050円
- 03年:2594円
- 13年:517円
- 23年:664円
とやはり2011年を境に株価がそれまでとは全く違う様相を呈しています。
株塾式で10年後の株価をテクニカル考察
生徒数3,000人を超える株塾の相場師朗先生の教えから、これからの株価の予想を考察してみましょう。
株塾式で考えると現在、どういう状況かと言うと・・・
10年以上の横ばい
2011年に大きく下げてから、底値で10年以上横ばい状態が続いています。
久々にMA10の上に下半身
長期横ばいですが、17年ぶりにMA5、MA10の上にローソク足が出ました。
しこりに上値押さえられている
650円の上値をずっと抜けられず、上げてもしこりで返すというのを繰り返しています。
大幅下落して以来、10年以上の横ばいです。暴落後の横ばいの後は比較的上がりやすい。業績も安定していますから、さすがにそろそろ上げてもいい感じ。
さらに上昇の機運を裏付けるものとして、横ばい後初めてMA5、MA10の上にローソク足が出ました。これを株塾では下半身と呼びます。下半身は上昇のサインですので、ここからの上昇は期待できます。
ただし650円のしこりで上値が押さえつけられています。このしこりを抜けないと、さらに横ばいが継続する可能性もあります。
図にするとこんな感じ
とにかく650円のしこりを抜けるかどうかがポイントです。抜けるとある程度の上昇が見込めます。そのまま上昇すると①-1のように上に飛び抜けて上昇するか、2000円のしこりで反落するかというパターンが考えられます。1000円の節目も結構注意が必要。
逆に下半身になったのに、650円を抜けないとなると、またしばらくの横ばいを覚悟する必要があります。いずれは抜くでしょうが、逆にさらなる下落も念頭に入れておきたいです。
というわけで10年後は・・・
- 2000円を超える
- 2000円で反落する
- まだ横ばいか、どちらかに抜ける
の3パターンで考えておけば良いのではないでしょうか。
※投資は自己判断でお願いします。またこの見解は株塾並びに相場先生の見解ではありません。あくまで一塾生の管理人の見解です。
今回の予想は株塾生なら誰でも出来ます
ここで書いた株価の予想ですが、株塾生にとっては初歩的なことなので、ある程度学んだ人なら、誰でも同じようなことは言えると思います。気になる方は株塾の公式サイトをチェックしてみてください。
参考:株塾ってどんなところ?
東京電力ってどんな会社?
ここからはファンダメンタルズ的なことも知っておいて損は無いので、東京電力の概要について解説していきたいと思います。
東京電力の概要
まずは東京電力の概要です。
会社名 | 楽天グループ株式会社 |
設立 | 1951年 |
主な事業内容 | 電力の発電ならびに小売 |
従業員数(連結) | 38,007名(2023年3月期) |
売上高(連結) | 約7兆7987億円(2023年3月期) |
営業利益(連結) | △約2853億円(2023年3月期) |
配当利回り | 0%(2023年2月) |
時価総額 | 約1.2兆円(2024年1月) |
関東の電力を一手に賄っているだけあって、さすがの大企業。ただし賠償金問題もあって利益はマイナス。時価総額もこの規模の会社としてはかなり少ないです。
事業内容
事業内容は言うまでもなく、電力の供給です。発電から小売までやってます。
東京電力の主な株主
以下が東京電力の主な株主になります。
- 原子力損害賠償・廃炉等支援機構 54.74%
- 日本マスタートラスト信託銀行 1.67%
- 東京電力グループ従業員持株会 1.43%
- 東京都 1.20%
- 日本トラスティ・サービス信託銀行 1.10%
早い話が、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の完全子会社。つまり国有企業です。
東京電力の主な子会社
下は東京電力の主な子会社です。
会社名 | 売上高 | 東電の持ち株比率 | 役割 |
JERA | 約3.5兆円(2023年) | 50% | 発電 |
東京電力パワーグリッド | 約2.5兆円(2023年) | 100% | 送電 |
東京電力エナジーパートナー | 約6.2兆円(2023年) | 100% | 販売 |
東京電力リニューアブルパワー | 約1563億(2023年) | 100% | 再生可能エネルギー |
※売上高はすべて連結です。
JERAは中部電力と、東電の100%子会社である東京電力フュエル&パワーが50%づつで設立した会社で、主に火力発電する会社。東京電力パワーグリッドは送電、つまり発電所から家庭まで電気を運ぶ会社。発電所の運営や送電線の管理など。東京電力エナジーパートナーは個人や企業に電気を販売する会社ですね。再生可能エネルギーは東京電力リニューアブルパワーが担っています。
東京電力の株価低迷の理由は?
2007年には最高値の4530円を付けた東京電力株ですが、2011年以降は一時期130円、高くても1000円を超えることはありません。この長期間の株価低迷の理由を解説していきたいと思います。
原発事故からの影響
東京電力(東電)は、2011年の福島第一原子力発電所事故以来、株価の低迷に悩まされています。震災前は2000円付近で推移していた株価が、一時期は130円まで下落。2024年1月現在でも600円付近になっています。原発事故は、安全性への懸念や巨額の賠償金支払いが重なり、企業イメージに大きな傷をつけました。これにより、投資家の信頼を回復することが難しく、株価は未だに低水準を維持しています。
福島の事故は、原子力産業全体に対する不安感を引き起こし、東電はその象徴的存在となりました。巨額の賠償金や除染作業に数千億円を投じることとなり、これが業績に大きな影響を与え続けています。
政府の原発再稼働方針や再生可能エネルギーの推進にも関わらず、未だに東電の株価が上昇しない背景には、依然として原発事故の影響が根強く残っていることが挙げられます。また、エネルギー産業全体の構造変化や国内外の競争激化も、東電の収益に圧力をかけています。
一方で、企業自体は再建に向けた努力を続けており、安全対策の徹底や再生可能エネルギーへのシフトなど、将来への展望を示す動きも見受けられます。しかし、株価の低迷は過去の遺産として残り、投資家の信頼回復には時間がかかるでしょう。東電は引き続き、事故からの影響を克服し、持続可能な成長を目指す道を模索しています。
電力小売自由化の影響
2016年4月から家庭向けなどを含めた電力の小売全面自由化がスタート。電力小売自由化自体は2000年3月から始まっていましたが、完全自由化から一気にその流れが加速。
消費者にとって選択肢が増え、価格競争が激化しました。ただ現在では電力価格が高騰し、小規模な小売業者は結構、撤退している模様。ただ東京ガスなどのガス会社が手掛ける電気小売は好調で、東電の経営を圧迫している背景があります。
化石燃料への依存度が高い
東電ではガス、石油、石炭の化石燃料を使った火力発電の発電依存度は90%。
原子力発電が全部止まっちゃったから、やはり化石燃料への依存度は高いです。現在、原油を始め、天然ガス、石炭の価格も上昇しており、発電コストが東京電力の経営を逼迫している状況です。こりゃ厳しいか。
ちなみにFIT電力とは主に太陽光発電の売電ですね。個人宅や企業が太陽光発電を東京電力に販売している電力です。
負債、結構あります
東京電力の2022年現在の有利子負債学は5.75兆円。結構あります。ただトヨタ自動車が29兆、ソフトバンクが19兆、NTTが8兆なので他と比べて目立って多いわけではありません。
だけど東京電力の負債はこれだけではない。先述した筆頭株主の原子力損害賠償・廃炉等支援機構から東京電力は合計で13兆円ほど資金供与を受けています(税金です!)。ただしこのお金に明確な返済義務はなく、
エネルギー需給の変遷と再生可能エネルギー競争の激化
エネルギー需給の変遷が進むなかで、再生可能エネルギーは注目を集め、競争が激化しています。従来は化石燃料に依存していたエネルギー供給が、環境への影響や資源の枯渇への懸念から再生可能エネルギーへのシフトが進み、需給構造が変化しています。
競争の激化によって、今まで水力、火力、原子力だけでやっていけてた東電が、太陽光や地熱、。
日本国、東電株、売っちゃうっかもよ
先述の通り東電株は原子力損害賠償・廃炉等支援機構が約55%保有しています。この株、一気に売却することは考えづらいですが、段階的に市場に放出する可能性はあります。つまり売り注文が殺到するわけですね。となると、株価は下がるかも?もしくは他の企業や投資会社に売却の可能性もあります。その場合は株価が上がる場合もあります。
いずれにせよ国の保有株は2024年1月で6000億円以上ありますので、この動向は注意が必要です。
東京電力の将来性
次に東京電力の将来性について解説していきたいと思います。
再生可能エネルギーへの転換
やはり東電で最も期待できるのは再生可能エネルギー発電の開発ですね。
東京電力では地熱発電、風力発電、太陽光発電、水力発電、バイオマス発電など再生可能エネルギーに取り組んでいますが、注目されているのは小型水力発電。農業地などに小型水力発電装置を設置し、小規模ながら数で勝負の戦略で取り組んでいくようです。
原子力発電の再開
岸田政権では原子力発電の再稼働を進めていくようです。
大きな反発もあるでしょうけど、業績的には原発再稼働は好材料。投資家からは好材料と取られると予想されます。現在の燃料高による業績圧迫は改善されるでしょう。
核融合発電への期待
現在、にわかに注目を浴びている核融合発電。原料のトリチウムは海水からほぼ無限に採取でき、ほぼ人体に影響なし。しかも得られるエネルギーは莫大といい事ずくめ。なんと1gのトリチウム燃料は石油8トンのエネルギーに相当するらしい。すげー。そもそも現在の原子力発電(核分裂)は核融合のつなぎ技術と言われていた歴史があり、とうとう本命が実用化の目処が立ってきたということです。
現状、2030年代なかばの実用化を進めているようですが、なんと2024年にアメリカのベンチャー企業のTAE Technologiesが実用化するらしい。ちなみにTAE Technologiesの最高科学責任者(CSO)は日本人の田島俊樹氏!東電にも技術供与の可能性もあるか?
東京電力の株主優待と配当利回り
長期保有の投資家は気になる株主優待と配当利回り。東京電力の株主優待、配当利回りはどんな感じでしょうか?
株主優待
東京電力に株主優待はありません・・・残念!
配当利回り
東京電力の配当はありません・・・0円!ちなみに関西電力の配当利回りは2.70%となかなか。
もし10年前に100万円、東京電力株を買っていたら・・・
最後に10年前、東京電力の株を100万円分買っていたら、今はいくら儲かってるのでしょうか?調べてみました。
10年前、2013年12月末の終値が517円。100万円分となると、1900株で982,300円となりますので、1900株買ったとしましょう。2023年12月末の終値は739円。なので・・・
株価:517円 → 739円
100万円分:約98万円→約140万円
約42万円の利益!10年の利回り42%となかなかのものですね。
もっと効率よく株で稼ぐには・・・